【本要約】STOIC 人生の教科書「ストイシズム」Part3:美徳とともに生きる
人生は短い。では、どう生きるか?
今回ご紹介するのは「STOIC 人生の教科書ストイシズム」(著者:ブリタニー・ポラット/翻訳:花塚 恵)です。
2000年以上の時を経て、語り継がれてきたストア哲学の叡智に触れることで、冒頭の究極の問いに対して後悔せず自信をもって生きることができます。
前回のパート2から引き続き、今回は実践パート3として「美徳とともに生きる」についてご紹介します。
ストイシズムとは何か?など概要を知りたい方はパート1の記事冒頭にまとめてありますので、合わせてご覧ください。
Part3「美徳とともに生きる」
このパートでは心の平静と目的に対する意識を高めて内面の強さと優しさを引き出します。
1.エメラルドのように
誰が何をしようと、何を言おうと、私はよい人間でなければなりません。
マルクス・アウレリウスは、他者から自分の選択をどう思われても、自分という人間は何も変わらないと言います。
エメラルドは周囲から称賛されてもされなくても、光り輝く緑色をしています。
あなたの要となる部分もエメラルドと同じで他者から何をされても、されなくても決して変わりません。
1. 宝石に固有の色がありますが、磨けばさらに光り輝きます。あなたの人格や美徳は何色でしょうか?磨きあげ、真の色を発揮する方法を2つ考えてみましょう。
2. 宝石は輝きとともに、硬度や耐久性が高いことで知られています。それは「不動の特性」です。あなたにある「不動の特性」つまり、内面的な強みをどう活かせば輝きが増すか考えてみましょう。
2.天を見上げる
天の星を散策し、地上のすべてを見下ろせたならどれほど気持ちいいでしょうか。
ストイシズムでは救いを求めて住処(すみか)を離れる必要はないとされています。
自然とつながることは、いつでも頭上に空があります。
慌ただしい日常の中、立ち止まることは欠かせません。
その時は空を見上げるのです。宇宙の広大さや私達が暮らす太陽系や惑星の壮麗さに思いを馳せれば、自分の限界を実感し、個人の抱えている悩みの大きさが、どれほどのものか認識できます。
1. これまで自然を通じて自分の生き方の理解が深まった経験はあるでしょうか?
2. すぐ近くの空が見上げられる場所や家から出なくても自然とつながる方法を3つ書き出しましょう。
3.意思を貫く
自分の意思を貫いて生きる人は自由です。
多くの人は制約や義務から自由になりたいと願っています。
またお金や時間はもっと欲しいし、自分がもっていないものを欲しいと切望します。
一方、エピクテトスにとって自由とは自由意志で選択を行うこと意味します。
自由とは自分の力が及ぶものを、つねに自分で正しくコントロールできること、つまり申し分のない人格を身に付け、高潔な選択ができるようになることです。
1. 今、あなたに課せられている義務や制約を書き出しましょう。また自由とは「自分の反応を自分で選ぶ力がある」という意味に捉え直すことはできるでしょうか?そのような自由はあなたの目にどう映るでしょうか?
2. 9マスの表を作成し、最上段には自分の状況を変えたいものを3つ、2段目ははその状況を変えるための美徳をそれぞれ書きましょう。3段目には現状を動かすために、やると決めたことをそれぞれ書きましょう。
4.仲間を愛す
自分に割り当てられた環境に適応し、自分に仲間として授かった人を偽りなく、心から愛せます。
マルクス・アウレリウスにとって他者を愛する秘訣とは「受け入れる」ということです。
それには自分が「他者にこうあるべきだ」という他者への期待をいだかないことも含まれます。
期待を手放すことで、相手に対してより優しくなれ、幸福を見出す力も上がります。
1. 1分間タイマーをセットし、愛する人を思い浮かべましょう。その人と過ごした楽しい日々を思い返しましょう。どんなことが頭に浮かび、どういう気持ちになったでしょうか?
2. 1分間タイマーをセットし、苦手な人を思い浮かべましょう。その人の長所をできるだけ多く思い返しましょう。あなたが気付いていない、その人自身で思う長所も含めて考えてみましょう。人の悪いところではなく、良い一面にも気が付けば人を、苦手な人でも愛することもできます。
5.快楽の奴隷になるな
人は快楽に身を投じ、それなくしては生きていけなくなると、それはもう快楽の奴隷も同然です。
ストイシズムでは幸福が贅沢に依存していないときに尊い自由を手にれることができるとされています。
1. これがないと(しないと)生きていけないものは何でしょうか?それなしに1週間過ごすことになったら、あなたの生活はどうなるでしょうか?
2. あなたがつい買ってしまう(やってしまう)ものは何でしょうか?それを手にしてしまうパターンや条件とは何か書き出してみましょう。
6.つねに優しくあれ
思いやりがあると、すべての人に対する言葉と行動と感情が穏やかで優しいものになります。
ストイシズムでは人間同士のやりとりは思いやりをもって行うよう促します。
人間は生まれつき、時間や資源を喜んで分かち合うようにできています。
他者を思いやる姿勢を示せば自分は力強さも覚え、穏やかで優しい気持ちとなり、周囲にいる人たちは幸せになれます。
1. 他者から見返りを求められず、優しくしてもらったときのことを書きましょう。その優しさに触れ、あなたはどう感じ、どう行動しただろうか?
2. 思いやりを示したい人を3人思い浮かべて、感謝の気持ちやいつも気にかけていることを伝えるための行動をそれぞれ考えてみましょう。そらにその行動への評価や見返りを期待せず、自然な形で思いやりを示すにはどうすれば良いかも考えて書いてみましょう。
7.喝采がなくても誠実に
人目がないときこそ正しく行動しましょう。
美徳にかなう行動は誰も見ていないときにこそ行います。
エピクテトスをはじめとする偉大なストア哲学者たちは、正しい行いをすることは、それ自体に価値があり、たとえそれが誰からも称賛や喝采をあびなくても行うべきだと教えます。
美徳とは品性であり、自身の品性を高める行いは、それ自体が「報酬」です。
1. あなたにとって誠実な行動をする手本となる人を一人選びましょう。あなたはその人のどこに憧れや尊敬を抱くのでしょうか?
2. 称賛されて当然のことをやったにも関わらず、誰からも気付いてもらえなかった時、どんな感情を抱くでしょうか?あなたがその行動に駆り立てた価値観はどういうものなのでしょうか?
8.自分に運を与える
幸運は自分が決めます。
何かよいことが起きないかと待ちわびるのではなく、自分自身でよいことを行い運を切り開くのがストイシズムの教えです。
マルクス・アウレリウスは「よい」とは「美徳にかなう」と同義であり、美徳とは先述に述べた通りそれ自体が「報酬」です。
ストイシズムでは自分自身にどんな運を与えるかが重要な問いのひとつであるとされています。
1. あなたにとってよい感情やよい行動とされるものは何でしょうか?
2. あなたが取り組んでいることに関して自分で運を切り開くために今日できることは何か2つ書き出してみましょう。
9.フローに入る
作業に夢中になって没頭する人は、没頭する行為自体が大きな喜びとなります。しかし傑作が完成し作業から手が離れたときに感じる喜びは、それほど大きなものではありません。
2000年以上も前にセネカは現代でいう「フロー」の概念を見つけました。
フローとは、取り組んでいる作業に夢中になって完全に没頭している心理状態を表します。
人生がアートだとすると、行動の一つひとつが芸術表現となります。
行動そのものに大きな喜びを生きるという創造的なプロセスに深く没頭できるようになります。
1. あなたがこれまでフローの状態になったときのことを思い出して書き出しましょう。
2. 自分の人生をかたちづくる芸術家になった気持ちで、最高の人生を作り上げるために、一つひとつの行動に夢中になって没頭できるためにどうすればよいか考えてみましょう。
10.やりすぎない
哲学が提唱するのは質素な生活であり、苦行ではありません。人生はバランスのいい中庸の生き方をとるべきです。
自分のための新しい生き方が見つかると夢中で飛びつき、その通りにしたくなります。
だがセネカは賢明で健全な生き方をしている時でも中庸を保てと忠告します。
やりすぎることで、燃え尽きたり独善的になってはいけません。
ストイックな生き方とは「知恵、正義、勇気、節制」ともに生きることで、同じようにしたいと周囲に思わせる生き方です。
1. セネカの言う「質素な生活で苦行ではない」とはどういう意味でしょうか?
2. 「シンプルで本質的な生き方」と「不必要な自制」の境目はあるか、あなたにとって最適なバランスとは何でしょうか?
11.内面の泉を掘り続ける
外側ではなく、自分の内側に目を向けましょう。内側は善の泉であり、あなたがつねに掘るならそれはつねに湧き出るでしょう。
幸福、充実感、自由はどれも自分の内側に目を向けたら得られるものです。
しかもそれらの供給に終わりはありません。
周囲に何が起きたとしても自分の内側に受け入れる知恵やそれを活用できる力はあります。
1. 困難な時に活用できる「自分の内側に蓄えているもの」のリストを作成しましょう。そしてそれらを日常的に生かすにはどうすればよいでしょうか?
2. 最後に自分の内側にある執着の中で1つ捨てることと、貫きたい1つの意志を考えてみましょう。ストイシズムではつねに執着を捨て、意志を貫くことのバランスを意識することが大切とされています。