DIE WITH ZEROの鵜呑みキケン!?資産を持つことの本当の価値とは?

DIE WITH ZEROの鵜呑みキケン!?資産を持つことの本当の価値とは?

「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」は、各所で絶賛され、この「死ぬまでにお金を残さず、稼いだお金は経験や思い出作りに使おう」という考え方は、非常に多くの人から共感を得ています。

DIE WITH ZEROを簡単に説明すると「死ぬときに資産をゼロにする」という目標をもち、インデックス投資などで十分な資産(個人によって額は違う)を築いたら、それ以上はお金を追わず、気力も体力もまだある若い段階で経験や思い出作りのために資産を使うことを提唱しています。

この書籍が熱狂的に支持されているポイントとしては、「仕事や節約、貯蓄に励み、今味わえるはずの楽しみを将来に先延ばしにするな。もっと人生に素晴らしい思い出を作ろう」というメッセージが読者から共感を受けています。

【本要約】DIE WITH ZERO まとめ/人生最後に残るのは想い出

しかし、このDIE WITH ZEROの考え方にはデメリットも当然あります。

まずこの書籍のターゲットは、本当に人生100年時代を見据えて、将来使い切れないほどの資産を作り上げた人向けの話で、誰しも鵜呑みにして徐々に資産を減らしていくのは、リスクが大き過ぎます。

この記事にたどり着いた聡明な、あなたは理解しているはずです。
斬新なアイディアは、多様な視点を取り入れて検討をした方がいいことを。
今回はあえてDIE WITH ZEROの真逆の考えとして、資産を減らさずに持ち続ける本当の価値についてご紹介します。

お金はいくらあっても困るものではないが、なければ非常に困るもの

まず簡単な妄想ワークをしてみましょう。

未来の自分(10年後でも60歳定年時でもいいです)の視点にたって、今の自分を見てみましょう。
未来のあなたは、今のあなたがどのように写りますか?そして未来のあなたは、今のあなたに何と声をかけますか?

  • 「過去の自分よ!そんなに仕事を一生懸命して、お金ばかり貯めずに、もっと自由に好きなことをやりなさい!」
  • 「過去の自分よ!大変だろうが仕事も頑張って、十分な資産を作り上げてくれてありがとう!今は何もお金に不自由なく、毎日豊かに暮らせてもらっている」
  • 「過去の自分よ、ありがとう!勇気と覚悟を出して仕事を辞めて、旅に出てくれて。おかげで素晴らしい思い出が作れたよ」
  • 「DIE WITH ZEROだと?FIREなんかしやがって!おかげで今は4%ルール通り取り崩して資産ギリギリの生活で、お金へのストレスが半端ないわ!」

いかがでしょうか?
未来のあなたは、今のあなたに色々な声をかけてくれるかもしれませんが、未来のあなたが後悔しない道を歩みたいと思いませんか。

そして真実として、お金は使わなかった後悔より、お金がないことへの後悔がより大きいものです。
経験や思い出も大切ですが、未来のあなたの生活が予想外に貧困に陥った時、「やっぱり若い頃からしっかり資産を築いておけばよかった」と後悔することは、一番避けたい最悪のシナリオです。

資産を持つことの本当の価値とは?

お金はツールであり、使うことでその価値を有効化できますが、実際にはお金は持っているだけでも、その価値を実感できます。
それは、心の余裕や安心感、そして未来に希望を持てることです。

例えば、お金があれば「いつ仕事を辞めても、まぁ生きていけるな」と思えて気分が楽になったり、「将来は海外移住しようかな?それとも沖縄でのんびり暮らそうかな?」など未来に思いを馳せることで、頑張る意欲、生きる意欲がわきおこり、心がワクワクします。

また老後においても、資産を持ち続ける価値は絶大です。
老後の三大不安は「お金、孤独、健康」と言われていますが、お金があれば、その三大不安の一つは完全クリアされます。
それによりストレスが軽減され、メンタルも安定することで肉体的にも健康になれることでしょう。

さらに、お金に余裕があれば日常的に銭湯や習い事にも通え、仲間作りやコミュニティへの参加も可能で、孤独対策にも一役買います。
人生100年時代、健康寿命を伸ばすためにも、長期的に資産を持ち続けることは、計り知れないメリットがあります。

また人生は想定外の出費の連続です。

  • 予期せぬ怪我や病気の医療
  • 親の介護や援助
  • 自然災害による家屋や家財の損害
  • 車や家具家電の故障
  • 通貨危機、インフレ、増税など
  • 詐欺や借金など金銭トラブル

保険などでもカバーできる範囲はありますが、やはりいつでも現金化できる資産を持っておくことで、多くの問題に対処できます。

資本主義において資産はいくらあっても、困ることはありませんが、なければ選択肢は狭まります。

僕も20代の頃、家業の各種税金の支払いで、とても苦い経験でした。
当時、コツコツ貯金していた1,000万円がなければ、家は没収され、家族離散になっていた可能性もあります。
今の自分が存在するのも当時、20代の少ない手取りでもコツコツ貯金していた自分がいたからです。

きっとDIE WITH ZEROに登場するキャラクターに言わせると「若い時に端金を貯めるなんて、お前は馬鹿か?これからもっと稼げるのに」と罵られたに違いありませんが──
今の自分が当時の自分にもし声をかけるなら、「若いうちから質素倹約に努めてくれてありがとう!おかげで今は旅行やスポーツなどやりたいことができて、不自由なく暮らせていてるよ」です。

真のお金持ちはDIE WITH ZEROを目指さない

いくら、資産に余裕があっても、無理に旅行に行ったり、背伸びをした買い物をする必要はありません。

真のお金持ちは、親から子などに資産を相続させたり、ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツ、その他の資産家や著名人などは寄付には積極的でも、自身の資産を経験や思い出作りのためにゼロにすることを目標にはしていないでしょう。

例えば日本で2番目にお金持ちとされるユニクロの創業者・柳井正氏の資産は6兆円とされていますが、その莫大な資産の使い道として教育や社会貢献活動、事業拡大など自身のビジョン達成のためにお金を使っています。

  1. 2023年に私立大学「柳井学園」を山口県に設立
  2. 柳井正財団による給付型奨学金制度の設立
  3. 「富の継承は最小限に」という考えで家族へのユニクロ継承には消極的
  4. 医療研究支援(東京大学への100億円の寄付など)
  5. 事業拡大への投資を重視

お金持ちになる普遍的な方法は、お金を手元にできるだけ多く残すということです。
そして、お金持ちは、自分自身のためにお金を使わなくても内面を豊かにでき、幸福を感じられる人です。

逆にお金を使わなければ、幸せになれないと思っている人はお金持ちになれません。
お金が貯まったらすぐに使うことを繰り返すので、永遠と働き続けるラットレースから抜け出せないからです。

55歳でFIREした僕の父親が手にしたものと、失ったもの

僕の父親は55歳で家業を辞めて今で言うFIREをしました。
ただし、当時の父親の資産は、銀行預金のみで、数年で貯金は底をつき、年金がもらえるまでの数年間は僕が毎月10万円を生活費として渡していました。

父親は実家暮らしなので、実際には生活費がかからないため、10万円はすべてパチンコやタバコ、お酒や外食などのお小遣いとして利用していました。

当時の僕は自身へのお小遣いなどなく、単純に稼ぎの大部分を息子としての責務として父親にそっくり渡していました。
当時はかなりキツかったと思いますが、僕は収入の大部分を貯蓄するスーパーセーバーとしての暮らしが若い頃から普通となり、おかげで今はFIREができるだけの資産が作れたので感謝しています。

そして今の父親は毎月6万円ほどの年金を頼りに、その日暮らしをしています。そして受け取る年金はすべて飲食に消えます。

そんな貯金もない父親は「大型バイクを買って北海道をツーリングしたい」という夢を持っているようです。
その夢を叶えるためには、数年間は年金を全額蓄えなければ不可能です。
そして僕は70歳の父親のその夢を叶えてあげようとは思いません。

思うに、夢や願望というのは70歳になっても持てるものなんですね。
そして、老後に突如、湧き出る夢を実現するために、まとまったお金が必要になるということです。

父親は当時55歳でFIREをせずに働いてたら、定年後に持った新たな夢──「大型バイクで北海道をツーリングをしたい」が叶えられたかもしれません。

その本当にやりたい大きな夢と引き換えに得たものは、55歳でFIREをして、大好きなパチンコを毎日プレイするというものでした。

自転車で北海道を一周した時に撮影した美しい海岸と丘陵地帯

たった1回の人生の大部分をそんなことに費やして、将来広がる自由な意思と選択を自ら放棄するのはどうなんだろうかと僕は思います。
必要以上の資産をため込まず、人生のあるタイミングから、自分の好きなことして充実感を得るDIE WITH ZEROは非常に示唆に富む考え方です。
ただし、70歳になろうが80歳になろうが資産を持ち続けることで(ゼロにしないことで)確実に取れる選択肢は広がります。

まとめ

資産を築き、増やすことで得られる個人的な価値とは、未来の自分はもっと自由になれるという希望そのものです。
DIE WITH ZEROはそれ自体を否定(年老いたタイミングで使えないお金に価値はない)としてますが、実際には人はいくつになっても、未来に「希望」を持つことができますし、希望があるからこそ今を強く生きているのではないかと思います。

そしてFIREした父親を見て思うのは、人生を惰性に任せて生きるのは非常に勿体ないということです。
「自分の人生で何を成し遂げたいのか?」をできるだけ若いうちに明確にした上で、それを夢ではなく実現可能な目標にまで戦略と計画をもって練り上げ、毎日それに向けて実行することが、充実した人生を送る秘訣ではないでしょうか。

夢や目標に向けて進んでいるときが一番楽しいというのは、誰しも経験があるはずです。
そして、そういう生き方を積み重ねたいものです。

FIREも海外移住も 計画進行の道のりが一番楽しい

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