【本要約】NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる/トレラン最強説

【本要約】NATURE FIX 自然が再考の脳をつくる/トレラン最強説

今回ご紹介するのは「NATURE FIX〜自然が最高の脳をつくる」(著者:フローレンス・ウィリアムズ /翻訳:栗木 さつき)です。

なんとなく、自然に触れると気分が晴れたという経験は誰でも感じたことがあると思います。

本書ではその自然に触れることで起こる素晴らしい効果効能を日本、アメリカ、フィンランドの世界中の最新研究データを元に紹介している一冊になります。

本書が伝えたいメッセージを1行に要約すると───

「1ヶ月5時間は自然を五感で触れられるトレイルに行こう」です。

全392ページの中から、僕が特に大切だと感じた部分を要約してみました。


NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

都会のビジネスマンが自然の中を散歩したらナチュラルキラー細胞(NK細胞)が40%も増大

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)とは白血球の一種で、リンパ球の約10~30%を占める免疫細胞です。

体内で細菌やウイルスなどの病原菌やがん細胞を発見すると、強い殺傷能力でいち早く攻撃してくれます。

自然免疫力として、このナチュラルキラー細胞(NK細胞)の研究が盛んです。
最近ではこんな報告もあります。

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した細胞を排除する速度にナチュラルキラー(NK)細胞が関与していることを発見した。

引用元:https://spap.jst.go.jp/other_asia/news/220102/topic_nt_02.html

このナチュラルキラー細胞を簡単に増やす方法があります。
それは森の中で過ごすことです。

千葉大学の宮崎教授が2008年に行った実験によると、東京のビジネスマン一団を森の中に3日間で1日2〜4時間散歩してもらったところ、血液検査でナチュラルキラー細胞が40%も増大した事が分かった。また1ヶ月が経過しても森の中で過ごす前と比較して15%も多かった。一方、都会を散歩してもナチュラルキラー細胞の変化は見られなかった。

引用元:NATURE FIX P45より

特にヒノキの香りや鳥の鳴き声なども効果的で、単に自然の中を歩くだけではなく、五感を使って自然を感じることは心身に良い影響が与えられるようです。

現代人は、都会の中で様々なノイズ(空を飛ぶ航空機、道路を走る車、遠くで鳴り響くサイレン、住宅密集地での騒音…etc)から離れて森の中で一定時間過ごすことを本書では推奨されています。

1ヶ月5時間、自然の中で過ごすことが効果的

アウトドア大国フィンランドの自然資源研究チームによると都会に暮らす3,000人を対象に自然の中で過ごしたあとの気分とストレスに関する調査を実施した。1ヶ月5時間、自然の中で過ごすと最大の効果が得られるという結果が出た。

引用元:NATURE FIX P190より

1ヶ月5時間ということは1回あたり30分を週2回、青々とした木々の下で過ごせば良いということです。

これは都会、整備された公園、森林公園の3つで実験されたようですが、やはり森林公園が最も効果が高かったようです。

このことからも休日や長期休暇がとれたら、都会や町中から離れて、緑豊かな森や川、湖、海などに行くことが気分向上やストレス軽減につながります。

自然か?運動か?

本書では自然から得られる効果なのか?それとも運動すること自体が効果があるのか?という論点でも書かれています。

結論、書籍「脳を鍛えるには運動しかない」でも書かれていた通り、運動(ランニング)の効果は体や脳に絶大な効果を発揮します。
自然か運動かというよりは、自然の中を運動することが理想です。

自然×運動を一緒に実現できるスポーツとして例えば…

  • 山の中を走る「トレイルランニング(またはランニングやトレッキング)」
  • 波と一体感となる「サーフィン」
  • 雪山を滑走する「スキーやスノーボード」

特にトレイルランニングは森の中を五感を使って駆け巡るスポーツとして最強です。

ちなみに僕自身の体験だと、コロナウィルスに感染して2週間の自宅療養で心身ともにストレスが限界レベルに達した後に自然豊かなトレイルを1時間半ほどランニングしたら、気持ちが晴れ晴れした経験があります。その時の記事もご紹介します。

健康格差と自然

オランダの研究チームによると緑豊かな場所から800メートル以内に暮らしている人々は心身ともに自然の恩恵を受けていることが分かった。
糖尿病、慢性疾患、頭痛などに悩まされる人の割合が少なかったのだ。

引用元:NATURE FIX P203より

本書を読んでいて感じたのは、住む環境の重要性です。

例えば東京など都会に住んでいたとして、近場に自然を感じられる大きな公園がある人はその恩恵を受けられます。

実は東京は日本で最も公園の数が多い都道府県でもあります。

  • 1位:東京…7,684
  • 2位:北海道…7,422
  • 3位:神奈川県…7,069

まずは住んでいるエリアの近くに自然を感じられる公園を探してみてはいかがでしょうか?

自然から感じる畏怖の念を抱こう

日常的には近場の公園などで自然を感じることは素晴らしい効果があると本書では様々な実験結果からデータを交えて紹介していますが、それらの先にある最高の体験として「自然から感じる畏怖の念」を抱くというものがあります。

畏怖の念とは簡単に言えば、人間には簡単に理解できないレベルの崇高な大自然です。

畏怖の念を感じることで、人間はより謙虚になり、他者への思いやり、視野の広がり、寛大な行動、好奇心が高まることが報告されています。

広がる地平線、連なる山脈、無限に広がる星空───

これらを年に1回でも感じることができる旅にでかけましょう。

なぜ富裕層は「シンガポール」に移住したいのか?

移住したい国ランキング2022において、日本は堂々の2位という結果でした。

一方、世界の富裕層が移住したい国・都市ランキングでは少し順位が異なります。

モーリシャスに拠点を置くアフラシア銀行は、資産リサーチ会社のニュー・ワールド・ウェルスと共同で調査した「富裕層に人気の移住先ランキング(Global Wealth Migration Review 2020)」によると───

  • 1位:オーストラリア
  • 2位:アメリカ
  • 3位:スイス
  • 4位:カナダ
  • 5位:シンガポール

シンガポールはアジアで唯一、国別で5位、都市別では4位という結果でした。

富裕層は何よりも自身の健康や幸福に投資します。

もちろんシンガポールは相続税や贈与税がかからず、キャピタルゲインも非課税、所得税の最高税率は20%、法人税は17%と税率が低い国としても知られていますが、本書ではシンガポールを世界屈指の自然との調和が取れた都市として紹介されています。

シンガポール首相・リークアンユーは「シティー・イン・ア・ガーデン」構想を叩き出し、遊歩道への植樹や都市公園、広大な植物園の整備、屋上緑地化など国土の50%を何らかの緑に覆うように整備しました。

シンガポールのフラワードーム
シンガポールのフラワードーム

結果、国民の70%が400メートルの範囲で緑にアクセスできるようになりました。

また、2008年には人類史上初めて、都市部に暮らす人間の数が過半数を超えました。
過密する都市では木々は伐採され、無機質なマンションが林立し、灰色の都市空間が無限に広がっています。
人々は常に人混みにさらされ、ストレスを感じています。

ノルウェーの実験ではラットを異常に混雑した空間で生活させたところ、横暴化したり、巣作りを忘れたり、自分の体を食べるなどの異常行動が出ました。
人間も同様に混雑した都市空間で生活するのは体に不調をきたす原因になるかもしれません。

2021年は東京において大きな転機が訪れました。
年間の転出者数は全国最多の414,734人を記録したのです。
コロナでのリモートワーク勤務などが一定数広がり、住む場所の制約から開放された人々は、より自然との調和がとれた環境に移住する動きが加速しています。

【まとめ】ネイチャーピラミッドという考え方

実際にどれくらい自然と触れ合えば良いのか───?
その目安となる量と質を簡単にまとめた図が「ネイチャーピラミッド」です。

ネイチャーピラミッド
ネイチャーピラミッド(クリックで拡大表示)
  • 毎年:大自然に畏怖の念を抱く(滅多に行けない場所が望ましい)
  • 毎月:ハイキングや森林浴に出かける
  • 毎週:緑豊かな大きな公園、川辺などでリラックスする
  • 毎日:庭、観葉植物、町中の公園で一息つく

これらを意識するだけで自然の恩恵を受けることができるので、日々の生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?

本書ではさらに細かな実験データやエピソードが満載ですので、気になった方は一読してみてください。

僕はトレイルランニングが趣味ですが、それまでなとなく感じていたトレイルランニングの効果効能がより科学的根拠により実感できるレベルとなり、とても良い学びと気付きを得ることができました。


NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方

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